概論
不妊症状は世界中ほぼすべての国で重要な問題と考えられており、生殖適齢期の夫婦の10-15%がなんらかの不妊症状に悩んでいることが分かっています。近年、不妊症状の治療を求めている夫婦の数は劇的に増加しました。この背景には、女性が子作りをする年齢が高くなったこと、不妊治療技術が新しく、より効果的になってきたこと。さらには、不妊治療技術の存在がより多くの人に知られるようになったことも影響しています。


1.不妊症状って何?
不妊症状とは、1年あるいは(女性が35歳以上の場合)6か月間トライしても、子供が授からないことを指します。妊娠はするけれども、途中で失敗してしまうようなケースも不妊症状に含まれます。妊娠とは、多くの段階を経るものなのです。
妊娠するためには、
・女性の体が卵巣から卵子を排出しなければならない。(排卵)
・卵子は卵管を通って、子宮に運ばれなければならない。
・その過程で、男性の精子が卵子と合わさり、受精卵を形成しなければならない。
・受精卵が子宮の内壁に付着しなければならない。(着床)
これらどの段階に問題が生じても、不妊症状は引き起こされます。

2.不妊症状はずっと続くものなの?
不妊症状は一時的な場合もありますが、様々な問題に起因している場合もあります。ご夫婦に、複数の要因がある場合もあります。こういった問題の多くは解決することが出来ます。そのために、男性も女性も検査を受ける必要があります。不妊症状を抱えるご夫婦の15%から20%が、男女両方に不妊の要因を持っているのです。35%から40%が男性側の要因で、同様の割合で女性側の要因です。残りのわずかなケースは、原因不明とされています。

3.どのようにして不妊症状の診断がなされるの?
避妊具なしの性交を1年続けても妊娠できない場合、医者に助けを求めるのがよいでしょう。医師は男女両方の検査をし、全体的な健康状況と、不妊の原因になっているかもしれない身体的異常を探ります。基本的にご夫婦両名と面談し、性交渉が妊娠のため正しい形で行われているかを知るため、関連する習慣について伺います。
この段階で原因が見つからなければ、さらなる検査が勧められるかもしれません。女性の場合、検温や排卵の検査、卵管と子宮のX線検査、腹腔鏡検査などです。男性の場合、初期の検査は精液気分析のみです。

4.不妊症状の原因って?

男性の不妊
精子の数が少ない場合や、適切な動きや働きをしない場合、または精子の通り道が塞がっている場合は、男性側の不妊を引き起こします。病気・発熱・感染症や先天性疾患によって、こういった問題が引き起こされることがあります。

女性の不妊
病気、感染症、ホルモン生成の問題や先天的疾患によって、生殖システムが正しく機能していない場合、女性側の不妊が引き起こされることがあります。こういった要因は、様々な形で生殖に影響を及ぼします。排卵が起こらない、子宮が成長する胎芽を受け入れる準備が出来ていない、卵管が塞がっていたり、疾患があったり瘢痕組織によって結束してしまっている、精子が生き残るための適切な頸管粘液が分泌されていない、などと言った影響が考えられます。

他の要因
男性側も女性側も、健康状態が悪いと不妊を引き起こすことがあります。肥満、悪い食生活、ストレス過多、喫煙、飲酒によって不妊症状が悪化することもあります。男性側でも女性側でも、精子に対する抗体が出来てしまっているということが不妊の原因であるケースもあります。こういった抗体が精子を攻撃し、妊娠を妨げることがあるのです。

5.男性側の不妊のリスクを上げるものは?
全体的な健康状態と生活習慣によって、男性の精子の数と質は影響されます。飲酒・ドラッグ・環境由来の有毒物質(殺虫剤や鉛など)・喫煙・薬・がん治療のための放射線治療や化学療法・年齢といった要因によって精子数が減少することがあります。

6. 女性側の不妊のリスクを上げるものは?
様々な要因が女性の不妊の引き金となりえます。年齢・ストレス・悪い食生活・過度な運動・軽すぎる/重すぎる体重・喫煙・アルコール・性感染症・ホルモン変化を引き起こす症状などが、不妊の要因として考えられます。

7.不妊治療ってどんなものがあるの?
場合によっては、性交渉のタイミングを適切なものにすることで不妊が解決することもあります。そうでない場合は、女性側か男性側に見つかった病気、感染症、ホルモン異常などがあればその治療薬が処方されます。ここ10年間その他の不妊治療の技術が劇的に進化してきました。たとえば以下のようなものがあります。

精子洗浄:
場合によっては、不健康な精子細胞、抗精子抗体、子宮に拒絶される精液などを除去することによって、精子の質を改善することができます。授精技術において、健康な精子はその後子宮に直接輸送されます。この輸送は一回の来院で完了します。

マイクロ手術と腹腔鏡手術:
これらの新技術を使うことで、何種類かの不妊症状は完全に治癒します。卵管が塞がっていたり、傷がついていたり、位置がずれてしまっているといった場合には、特に有効な方法です。手術用顕微鏡の利用によって小さな管や細胞を拡大できるようになったことで、こういった再建手術の成功率は飛躍的に向上しました。多くの場合、この施術は腹腔鏡手術によって日帰りで行われます。

体外受精と胎芽輸送(および他の生殖補助医療)
「試験管ベイビー」技術によって、多くのご夫婦の問題が解決できます。こういった技術(体外受精、卵細胞内精子注入法、アシスト・ハッチング、胚盤胞培養)において、卵細胞は女性の体内から摘出され、研究室で男性の精子と混合されます。その後、卵子は女性の胎内に戻され、妊娠を祈るということになります。こういった治療はクリニックで行われ、入院は必要ありません。